所詮無責任な「建築確認」法令の適合性しか見ない

建築確認のための業務量は、法改正以降、膨大に増え、着工件数は大幅に減少したという事実は無視できない。一方、社会福祉の観点からみれば、審査する側がかなり丁寧な審査をするようになったことは望ましいことだろう。同時に、意匠と構造の不整合も指摘の対象となり、両者の齟齬がないように努める設計者側の姿勢も慎重になったことも(当然のことといえるが)、建築の質の向上に寄与する一因となるだろう。設計事務所の業務量の増加も、一般国民の利益の充実に役立つことなのであれば、納得できなくもない。

問題のひとつは、所詮「建築確認」と呼ばれている事実である。どんなに審査が厳しくなろうとも建築設計検査や建築着工前審査ではなく、行為を行おうとする建築が関係法令に適合していることの確認でしかない。責任はあくまで設計者に帰結する。

もっと重要な問題は、建築文化の問題である。今回の改定は、建築デザインが進展する可能性を著しく制限する可能性を持っている。法律が技術の進歩の足枷となる事態がやがて顕在化して、そのことは明確になるだろう。諸外国の進化に対して大きな遅れをとることになる危険性も内在させている。そうなれば、業種としての衰退も加速されるだろう。

益子一彦/三上建築事務所代表
建築ジャーナル
2008年7月号
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