「砂沼の先の筑波山」 下妻市立下妻中学校

ありふれた言葉だ。しかし、この学校は下妻市の中心に位置し、地域の中核を担う多くの人たちの母校でもある。しかも、砂沼の隣にあって、その湖面の先に目をやれば、正門の正面東方に紫峰筑波を望むことができる。この学校は下妻市の特質が凝縮した場所に建つ、紛れもなく地域の中心である。この場所の特質を活かし、地域の中心としての学校の存在感をつくることがここでの主題であった。

そのひとつが筑波山に向く軸線の強調である。
校舎は3層に納めて、100mを超える直線状に配置した。1層目は1.8m間隔で並ぶ細い柱が仮想境界面を構成する下屋である。3層目は、3つに分節したマッシヴなコンクリートボリュームが突出する。結果として2層目が大きく抉られた形になる大きな凹凸をもつ。元より正門・砂沼・筑波山を一線状に並んでいたかのように、強い軸線を創る作業だった。
ふたつめはこの学校を特徴づける顔をつくることだった。
前面道路に面する西側、校舎の妻側に昇降口を設けた。その昇降口前に折板状の大きな屋根が架かる。生徒たちを毎朝迎え入れるためであると同時、既存の体育館と一体化する装置でもある。しかし、今は未だこの大屋根は体育館の陰に隠れている。その真価は将来この体育館が無くなったときに現れる。

私たちが創る学校は、X方向・Y方向ともに耐震壁を設ける強度型の構造を採用する。軸力のみを負担する柱は純ラーメン構造よりも小さな断面とすることができる。反面、室の配列と耐震壁との調整はやっかいなものとなり、相反する要因を照合し続けることに時間を要する。しかし、地震被害を最小限にするために変形を極小に抑えることは、設計者の理性でる。そのことは、2011年の3・11で図らずも効果を確認することとなった。
そして、床版も下面に梁型のないヴォイドスラブをほぼ標準としている。設備経路との干渉を少なくし、階高を抑制するためである。階高もほぼ3,600㎜で落ち着いているが、小学校では3,450~3,300㎜まで抑え込むこともある。
そうした構造デザインの結果として、一般の学校と比較してコンクリートの数量は若干多くなり、それが量魂を感じさせるヴィジュアルにもつながっている。

住所
茨城県下妻市長塚乙38-1
竣工
2018年12月
建築面積
3,818.49㎡
延床面積
校舎:8,397.89㎡
構造規模
RC造一部S造3階建て

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