「箱の中の海」 玉野市立図書館

図書館は知の大海である。有り余る知識情報、手に入れても手に入れても資源は尽きることはない。そして、世界中の知性からみれば、わが身は採るに足らないちっぽけな存在でしかないことを悟る。

4,000㎡を超える1フロアに図書館と公民館を当て込める。既存のショッピングセンターの2階の一部を公共施設にリノベーションすることがこのプロジェクトの目的だった。許容積載荷重が小さい、柱間が図書館の書架間隔との整合性を欠く、窓がない、下階の食品売り場を営業しながら工事を行う等々、挫けそうになる条件が揃っていた。
外に出て、少し高いところから見渡せば、瀬戸内の穏やかな蒼い海が横たわる。そこに数えきれないほどの島々が点在する。その間を小さな船がゆっくりと行き来する。この豊かな海がこのまちの人たちの暮らしを支えてきた。閉じられた箱のなかに、瀬戸内の風景を落とし込むことを思い立ち、このプロジェクトの方向性が定まった。

建築というアウトプットとしてのモノは、コトというインプットに対応することを強いられる。しかし、今日のコトは極めて曖昧で流動的で危うい。コトに従属するモノの寿命は短くなる。モノもまたコトを誘発しようとして自虐的な進化を目的と倒置する。
だとすれば、コトに左右されず、コトから自立したモノとしての建築はありえないのだろうか。コンバージョンを手掛ける度に、そういう建築を創りたいと思う。

住所
岡山県玉野市宇野1-38-1
天満屋ハピータウン・メルカ2階
竣工
2017年02月
延床面積
図書館部分:4,177.98㎡
(ショッピングモール:29,527.96㎡)
構造規模
S造4階建て(2階部分)

Menu