「大屋根の下のワンルームの図書館」 砺波市立砺波図書館

砺波平野は比類なき静かな絶景である。加賀百万石を支える穀倉地帯であった散居村の様が今も美しい田園風景として継承されている。ここに住む人々の中に宿る合理性と豊かな心情を兼ね備えた高い品格に由来するものだと、あずまだちと呼ばれるその母屋の佇まいにその所以を感じた。そうした心象を抱きながら市内を縦断する幹線道路に面する「大屋根の下のワンルームの図書館」を構想した。

大屋根はその大きさとともに緩やかなうねりをもって砺波市の新たなランドマークとなることを企図した。それはあずまだちの現代的な解釈であると同時に、未来に飛翔するペーガソスの翼のように市民の教養の象徴でもある。そして、西側の通りと平行に低く構えた軒下から館内の様子を通りに開くように設えた。

その館内は、大屋根のうねりが反転して表出するひとつながりの空間である。天井の傾斜の強い北側では市民が立ち寄り触れ合うことから生まれるにぎわいを誘発しながら、奥に進むにしたがって緩くなる。子どもから高齢者まで来館するすべての市民は、濃密な木の温もりと高窓から注ぐ柔らかな自然の光に包まれる。天井の傾斜の和らぎとともに知の世界に畏敬の念を抱きながらも本の森の静けさに身を置く安堵感が得られるように仕掛けている。

2方の階段から上がる上階もまたひとつながりの空間を共有しながら館内を見晴らすことができる。そこから眺める階下の床にはチューリップの写真を拡大しモザイク状にカーペットを敷き詰めた。そもそも学ぶことは楽しいことである。しかもその様は砺波市の図書館だからこそ可能な設えである。

従前の図書館が誕生した頃、富山県は全ての自治体が図書館を設置した唯一の県であった。新たな砺波市立砺波図書館の誕生はその崇高さが継承されることを意味している。

住所
富山県砺波市
竣工
2020年11月
敷地面積
7,446.84㎡
建築面積
2,819.48㎡
延床面積
3,342.62㎡
構造規模
鉄筋コンクリート造 一部 鉄骨造
地上2階

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