「森羅万象」 野々市市文化交流拠点施設 学びの杜ののいちカレード

石川県野々市市は北陸の古都金沢市の南西に位置する。地形は平坦で市域は比較的狭い。かつて田園であった面影を所々に残しながら、現在では5万人を超える人が住む住宅地に変容している。市内には2つの大学が所在することもあって若い人が多く居住する。また、住みやすいまちランキングでは常に上位にランキングされる。カレードはそのような野々市市の中央にある。

この施設には、知識・情報を蓄積し提供する図書館と市民が様々な活動を展開する市民学習センターを融合した生涯学習の拠点とすること、そして、その機能を活かして中心市街地ににぎわいを創り出すことが求められた。
そのために、ワンルームの開架スペースを中心としながら周囲にスタジオを配置し、すべての諸室には開架スペースからアクセスするようにした。図書館と市民学習センターを併設するのではなく、両者が密接不可分な関係を創るためである。また、子どもから高齢者までに親しまれる場を目指しながら、特に若い世代の関心を引くことに重点をおいて、既視感のない空間を創ることを目指した。

施設の愛称カレードはKaleidoscope(万華鏡)に由来する。ワンルームの開架スペースの天井は鏡面のステンレスで覆い、内部の様子を映し込むようにした。蓄積された知識・情報や訪れた人たちを映し出しながら豊かさを増幅させるためである。

いつもそこにある。そして、つい足を向けたくなる。訪れればその度に何かが違う。季節によって、天候によって、時間帯によって様相が異なる。しかも、美しい。少し大げさにいえば、図書館には森羅万象が記録される。図書館の潜在的なあり方を視覚化した姿である。

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