「昭和の町の図書館」 豊後高田市立図書館

国東半島は古くからの信仰の地である。宇佐神宮の荘園があり、六郷満山文化が花開いた瀬戸内海の西の留まりである。

国東半島の北側の付け根に位置する豊後高田のまちは、瓦屋根の家並みが素朴で温かい風景をつくっている。市内を流れる桂川の左岸に昭和の町があり、昭和ロマン蔵がある。たくさんの知識、新しい情報、郷土の歴史や物語などを備えて、桂川を挟んで昭和ロマン蔵とともに豊後高田市を特徴づける施設となることを企図した。

右岸に建つ図書館も町並みに倣って瓦屋根とし、折板状の形状を成す。低く構えた軒先の下のガラスから内部を覗うことができる。

市民のためのスペースは全て1階にある。壁や柱をできるだけ周囲に設けて、その大部分を入口から一望できる一体的なスペースとした。天井面は地場産の正角材を小間返しにあしらい、櫛目の繊細さを創り出した。

その中央に光の庭がある。奥行の大きな建物の中央部分に自然光を採りいれ、同時に、大人と子どものスペースを緩やかに隔てる役割を担う。その光庭には柱状の地元の石が横たわる。立ち上がりは原石そのままに表出する角張った粒状が突起する。それとは対照的に上端は本磨きとした。晴れた日には空を写し、雨の日には光り輝く。

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