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改めて「メディアという仕組み」と「近代という時代」を考えることとなった。 時間的にも空間的にも、自分の身体と遠く離れたところにある「もの」や「こと」を知ることができるのは、メディアがあるからだ。けれども、メディアによって伝えられるのは「もの」や「こと」の全容ではないし、伝える側のバイアスが働いている。さらに、その「もの」や「こと」をどう理解するか、自らの行動にどう関係付けるかは、受け手の側の感官に負うことになる。

建築は、近代の技術に頼って形づくられている。図書館もまた近代のテクノロジーによって稼動している。そして、図書館はメディアを扱っている。

しかしながら、我々が図書館から得ようとするものは、メディアそのものではない。少なくとも利用者として図書館に求めるものは、データであり、思想であり、物語である。なのに、図書館はそれらを直接的に扱うことはない。そこに、図書館のある種のパラドックスがあり、図書館の核心がある。

「結城」という街の歴史は、源頼朝と因縁のあった朝光が一一九三年(寿永二年)結城郡主となったときに始まる。以後四百年に渡ってこの地を治めた結城氏は、一五九〇年に徳川家康の次男で豊臣秀吉の養子であった秀康を養子として迎えた。しかし、一六〇〇年関が原の戦いの後六七万石に加増され越前に国替えとなり、福井に移った秀康が松平を名乗ったことにより結城家は消滅した。その百年の後結城は水野氏の所領となって幕末を迎えた。

「下総州結城絵図」(享保一九年)に示された結城の街は、計画的城下町として一五九八年ころに造られたと言われている。昔からの市街地の体系は、今も享保年間の地図と重なっている。ここに住む人たちは、数百年も引き継がれてきたこの路を使って、今も生活している。つまり、結城の街は、長い間、特徴的なネットワークを維持してきているのである。

建築は地面に固定される。建築における床は擬似的な地面である。人間が建築において「こと」を為すのは、人間自らの身体を置く床においてである。外界から囲い取られて建築化されることによって、内部の床は安全で快適な「こと」を為すための人工の地面を獲得することに主眼をおいた。

建築というアウトプットとしての「もの」は、「こと」というインプットに対応することを強いられる。しかし、今日の「こと」の危うい。もはや「こと」は極めて曖昧で流動的である。「こと」に従属するがゆえに「もの」の寿命は短くなる。「もの」もまた「こと」を誘発しようとして自虐的な進化を目的と倒置するに至った。

だとすれば、「こと」に左右されず、「こと」から自立した「もの」としての建築はありえないのだろうか。

敷地は、当時から「湿辺」と呼ばれ、市街地の外れであった。鉄道が開通し、駅ができたことによって、市街地のはずれでしかなかったこの場所に、「駅前」となった。しかし、鉄道の南側に国道が通り、さらに南側にバイパスが開通したことに伴って市街地は南側に広がり、相対的に駅と駅前の価値は薄れ、市街地は沈滞化の途を辿っていた。

市民情報センターは、市街地の活性化を目的として企画された。その目的に対して我々は、結城という街のローカルなネットワークのサーバーとしての役割を目指した。したがって、さまざまな「もの」や「こと」を結び付け、集積し、流通させる役目をする。けれども、サーバー自体は目的に対して直接的な働きをするわけではなく、ここを起点して街に動きが生まれていくことに意義がある。それは、「情報とは誰のためにあるか、何のためにあるか」ということに行き着く。希望をもって未来を描き、その夢に向かって、前向き生きていく人のためにあるだと、僕は思う。市民情報センターの意味はそこにある。

この建物の大きく張り出した屋根は、サーバーのアイコンである。屋根をほぼ敷地いっぱいに掛かることによってこの場所のポテンシャルを建築という物体を一致させ、街に特記を与えようと考えた。

そして、屋根の下にはひろばがあり、連続するエントランスホールがある。それらすべては、ヒト情報を集積し、交換するためのものである。さらに、建築はガラス張りの外皮で覆われ、いくつかの吹き抜けをもっている。外部からもガラス越しに中が見えるし、中に入れば、ほとんどの場所が見る見られる関係にある。そこにいるヒト、そのヒトの行為もまた、ここに集積された情報というわけである。つまり、メディアを扱う施設もまた、ヒトを交流させるメディアなのである。

住所 茨城県結城市湿辺7467-5
竣工 2003年9月
建築面積 5,064.98㎡
延床面積 14,396.21㎡
各階延床面積 1階:2816.20㎡、
2階:3245.80㎡、
3階:2698.71㎡、
4階:342.63㎡、
地下1階:5292.87㎡
構造規模 S+RC造 一部SRC造、地上4階、地下1階
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