「Cubic School Ⅳ」 日立市立日高小学校

既存校舎は敷地南側に配置され、運動場は北側にある。既存校舎での学校運営を維持しながら新校舎を建設すること、北側隣地の住民への周到な配慮が課題だった。加えて、体育館とプールは継続して使用することが条件であった。

校舎は矩形にまとめ、既存運動場部分に南北を長手として配置した。学校校舎はおよそ東西に細長い。対して矩形の校舎は建物が占有する地面が小さい。しかも内部の移動距離が短く、外壁面積が小さいなどの利点が生まれる。反面、南面しない教室が生まれ、自然採光や通風の確保に工夫も必要となる。教室の南面性による夏季の熱負荷の増大や冬季の直射日光など欠点も解決し、二つの中庭によって採光通風を確保し、矩形の校舎を実現した。

構造は原則、壁体と床版で構成される。壁は扁平な柱を包含する耐震壁、床版は扁平な梁を包含するヴォイドスラブである。外周面と直行する壁は一枚の壁体として自立し、中庭まで視線を透過する。作意の表出を最小限に留め、構造体が建築の骨格を形づくっている。

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