「 Strap」 水戸市下入野健康増進センター

敷地は水戸市の中心部から離れた東部の丘陵地に位置する。敷地は雑木林を切り拓き、谷地を埋めて造成した。異種の基礎構造を回避して直接基礎とすることを模索した結果、ストラップのような形が浮かび上がり、建物の配置と外形が規定された。
この施設の設置目的は、近隣に建設されたごみ焼却場とこれから建設される火葬場によって被る地元住民の心理的負担を和らげるため、癒しや憩いを提供するための場をつくることであった。
その主な施設機能は、トレーニング室や多目的室などのスポーツ練習場、屋内プール、公衆浴場である。これらの機能を土地条件から規定された外形の中に割り当てた。機能を持った空間を一筆書きでつなぎ、連続させることで、様々な活動や利用する人たちがつながり、集う場になることを目指した。そして、外周を取り巻くストラップ状のスペースに片流れの屋根を架けた。直線から擂鉢状の部分を介して異なる方向へ連なる。そして、屈折した三角形の屋根面が奥行も勾配も異なる直線状の屋根へつながる。
その屋根の軒先の高さを一定とし、しかも低く抑え、和風の佇まいを与えた。屋根の裏面となる天井は、軒天井から内部空間へと連続する。軒下はすべてガラス張りとすることによって、軒先に縁どられた外部と視覚的なつながりと、日本的な内部と外部の曖昧な境界を創り出している。

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