「子どもたちのまち」 矢祭町立矢祭小学校

矢祭町は福島県中通り南端、茨城県との県境にある。5つの小学校を1校に統合する矢祭小学校は、町が推進してきた子育て支援策の集大成である。

町の中心部は東館という。山間の平地を南方向に久慈川が流れ、水戸と郡山を結ぶJR水郡線、水戸と会津を結ぶ国道118号線が並走する。その沿道には妻入りの家々が並ぶ。

敷地は東館の南の入口に位置づく。奥側の高い土地に南北軸上に2階建ての校舎を、国道沿いの低い部分に高さのある体育館を配置した。棟の高さが揃う妻入りの屋根が連なって東舘の街並みと符合し、同時に周囲の山並みと呼応する。

ここに「子どもたちのまち」を創ろうと考えた。町全域から通う子どもたちの元気な姿が町に元気を与え、子どもたちが大人になったときには町民皆の母校になることを思い描いた。朝は体育館前に町内各地から通う子どもたちを乗せたバスが寄りつく。国道から運動場に向かって朝日の道が校舎を貫く。そして子どもたちが居なくなった夕刻、町民に開放された日には体育館に明かりが灯る。

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