「里川沿いに弧を描く」 日立市立中里小中学校

太平洋に面する日立市のなかで、中里地区は山を越えた飛び地のような位置にある。日立銅山の公害を描いた新田次郎の小説『あるまちの高い煙突』の舞台となった場所である。
この学校は極めて特殊である。現在は別々にある小学校と中学校が一緒になる。しかも市内全域から児童生徒を募る可能性もある。それでも人口17万人を超える日立市にありながら、1学年10人程度の小さな学校である。
校舎は敷地の南側に里川に沿って大きな弧を描くように配置した。校舎内から見える円弧外周の景色は場所によって緩やかに異なる。同時に、背後の円弧内側は地域を囲い込みながら、子どもたちを迎え入れる。
中里地区は山々が手の届くほどの距離にあり、間近に清流が流れる。森の木々の彩り、草木のざわめき、川のせせらぎ等々、四季の変化と豊かな自然を感じることができる。それらを校舎内に取り込み、風景と調和するように構造は木造とした。
住所
茨城県日立市東河内町
竣工
2022年03月
敷地面積
15,030.17㎡
建築面積
2,069.02㎡
延床面積
2,839.70㎡
構造規模
W造一部RC+S造 2階建て

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